全般的な説明
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ニトリルゴムは、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体からなっています。アクルロニトリルの含量によってゴムの特性が決まります。ニトリルの量が増加するにしたがって、鉱油系の油、炭化水素系の燃料に対する抵抗は、良くなりますが逆に低温柔軟性は、悪くなります。
シール材として、要求される圧縮永久ひずみ、引張り強さ、耐磨耗性が、比較的に良いため、最も重要な材料のひとつとされています。ただし、ゴムの構造中に不飽和結合を含むため、耐候性は良くありません。したがって、ニトリルゴム製品の保管場所は、オゾンを発生する電気装置の近くや直射日光のあたる場所は避けなければなりません。
ニトリルゴムの用途は、その優れた耐油性を利用した工業用品に幅広く使用されています。最も使用量が多い分野は、自動車部品関連です。Oリングやオイルシール、オイルホースなどに使用されています。そのほか、工業用途では、油圧系統、圧力系統に使用される油、燃料、水、薬品などのシール(漏れ止め密封装置)の材料として使用されます。Oリング、オイルシール、Vリング、各種パッキン、ダイヤフラムとして用いられ、一般に汎用ゴムといえば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)のことをさしますが、これらシール(密封装置)製品では、ニトリルゴムが、一般汎用として扱われています。
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エチレン・プロピレンゴムは、エチレンとプロピレンの共重合体であるEPM(=EPR)と、さらに少量の第3成分を含む三元重合体のEPDM(=EPT)の2種類があります。一般にEPMは、過酸化物架橋材などにより、工業用ゴム製品に用いられてはいますが、現在では、ポリフロピレンなど汎用樹脂に、添加することにより、耐衝撃性改質材として樹脂ブレンド用に多量に用いられています。自動車用バンパーなどがあります。一方、EPDMは、非共役ジエンモノマーである第3成分を共重合することで硫黄架橋(加硫)が可能で、工業的に広く使用されています。これらのEPMおよびEPDMの特徴の多くは、同じく非ジエン系非極性ゴムであるブチルゴム(IIR)に類似しています。耐オゾン性、耐熱老化性はブチルゴム(IIR)よりも若干優れており、耐候性、耐寒性、耐極性、溶剤性、耐無機薬品性にもすぐれ、されにブチルゴム(IIR)にくらべてはるかに反発弾性がよいので、自動車用ゴム製品、工業用ゴム製品、建築用ゴム製品など、その用途は、かなり広く、電気的性能に関してもブチルゴム(IIR)より優れていますので、高圧ゴム電線や高圧ゴムケーブルなどにも使用されています。現在では、SBR、BRに次ぐ生産量を誇る合成ゴムとなっています。また、比重が、市販されているゴムの中で最も小さいのも特徴の1つです。ただし、一般の鉱油には、全く耐性がありません。グレードによっては、耐スチーム性が非常によいものもあり、耐熱性のよいふっ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)がスチーム中では、劣化が早いのと対照的で相当の高温まで使用可能なものまであります。
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